メコン川から見る流域の街並みと歴史

メコン川から見る流域の街並みと歴史


メコン川の全長は4350kmです。日本列島の長さをゆうに超える巨大なこの川は、チベット高原に源流を発し、中国の雲南省を通り、ミャンマー・ラオス国境、タイ・ラオス国境、カンボジア・ベトナムを通り南シナ海に抜けています。典型的な国際河川の一つで、数多くの支流があります。
メコン川沿いの街並みはとても穏やかで、全体的に緑の多い地域です。多くの国を股に掛けるメコン川は、深い歴史と美しい街並みを兼ね備えています。
今回はそんなメコン川流域の魅力について色々な角度からご紹介していきます。

メコン川について

冒頭でメコン川の全長について触れましたが、実はこの川は世界で12番目に長い川なのです。日本で一番長いとされる川は信濃川ですが、なんと約14倍もの長さを誇っています。
その大きさからもわかるように、タイでは耕地の50%がメコン川流域に存在しています。流域面積の割合から推計される、各国の流域人口の合計は6,000万人にも及びます。このことから、メコン川流域の国々の大半がその恵みを享受していると考えられます。

季節による変化と生物

メコン川の流域国は南西モンスーンの影響で、下流域国で5~10月までが雨期となります。日本の梅雨と比較してみるとかなり長いことがわかりますね。年間雨量はラオス領内では4,000mmを超える地域もありますが、下流域の年間平均雨量は1,670mm程で、その約88%が雨期にあたります。メコン流域地へ旅行に行こうと考えている方で、「雨期は避けたい」という方は11~5月の乾季に訪れることをオススメします。
メコン川に生息する魚の数はとても豊富で、1200種に及ぶとみられています。水生生物の多様性は、南米アマゾンに次ぐとも言われています。巨大な魚も捕獲されており、その一例としてはパーカーホ(シャム鯉)というものが挙げられます。この魚は地球上に淡水魚の最大種の一つであり、最長で3m、300kgの個体が確認されています。
もしご自身の目で巨大生物を確認したいという勇気のある方は、一度メコン川流域を訪れてみても良いかもしれませんね。

メコン川をとりまく歴史

メコン川地域に人が住み始めたのはなんと有史以前からです。有史とは文字による歴史があることを指しています。つまり、文字という文化が完成する以前からその地域には人が生活していたのです。狩猟や精霊信仰、稲作などを特徴として民族・部族移動が起こり、ヒンズーあるいは仏教文化伝来と共に国を成立させました。有史以前から人類の生息が確認されたものの、文明の発展はさほど早くはなく、西欧人が現れるのも16世紀に入ってからでした。その後19世紀にはイギリスとフランスの植民地争いに巻き込まれるなど、波乱の多い歴史を経て、メコン川は今の状態に落ち着いたと考えられています。

自然豊かで穏やかな街並み

メコン川流域は自然豊かで、時間の流れもゆったりとした落ち着いた街並みが特徴的です。その中でも多くの観光客の目を引く場所があります。「アジア最後の桃源郷」とも言われているラオスの古都「ルアンパバーン」です。美しい街並みと、歴史的、文化的遺跡保護の観点から1995年、ユネスコによって世界遺産にも指定されました。カーン川とメコン川の合流地点に位置しており、メコン川の名物でもある夕日も堪能することができます。

もともとはフランスの植民地だったルアンパバーンには今でも独特な雰囲気が残っています。フランス領インドシナに編入されてからは、王宮も含めて街中にコロニアル建築が建てられるようになりました。もし街中に立ち寄る機会があったら、建築にも注目すると面白いかもしれません。

ダム建設計画による変化

長い歴史を持つメコン川ですが、現在その歴史にまた大きな出来事が刻まれようとしています。それが中国によるダム開発です。全世界的に人口増加が見込まれる将来、今まで以上に電力需要は高まります。そこで求められるものが、二酸化炭素の排出量が少ない水力発電です。水力によって発電をするため、もちろん「水」が必要不可欠になってきます。そのため流域面積も広く、各国に股を掛けるメコン川に焦点が当てられたのです。
電力は現代人の生活に欠かせないものですが、一方ダム建設によって被害を被っている人々がいることも確かです。メコン川流域に位置しているタイの小さな村では、中国が建設したダムにより川の水位が急激に変化するようになり、漁獲量に影響がでたといいます。タイの環境保護活動家で元国会議員のクライサク・チュンハワンは、下流部のダム計画を「歴史的な人災」と批判しています。

おわりに

各国に生命の源である「水」を運ぶメコン川。美しい街並みや豊富な自然は一度は目にしたいものですね。しかし、そのなかで文明の発展により苦しんでいる人々がいることも事実です。ただ「美しい」と感嘆するだけではなく、その美しさと文明の発展をどう共存させていくかということを考えることも、これからの時代には求められているのかもしれません。

参考
diamond.jp

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川沿いの街をめぐるためのガイドブック

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