ヨーロッパの歴史が詰まったドナウ川流域

ヨーロッパの歴史がギュッと詰まったドナウ川流域


ドナウ川と聞いてあなたは何を思い浮かべますか?オーストリアのシンボル、ヨーロッパを跨ぐ大河と考える方、はたまた、ヨハン・シュトラウス2世によって作曲された『美しく青きドナウ』を思い浮かべる方もいらっしゃるでしょう。実はドナウ川流域には数えきれないほど多くの歴史が詰まっています。今回はヨーロッパでヴォルガ川に次ぐ、全長2850kmの大河の基礎知識と歴史の一部をピックアップしてご紹介していきます。

ドナウ川の基礎知識

ドナウ川は、ドイツ南部のシュヴァルツヴァルトを源流とし、計8カ国(ドイツ、オーストリア、スロヴァキア、ハンガリー、クロアチア、セルビア、ルーマニア、ブルガリア)を東に流れ、黒海に注いでいる国際河川です。これだけ各地につながっていると川を渡るだけでもちょっとした旅行気分を味わえますね。

名前の由来

「ドナウ」とはドイツ語における呼び名です。英語、ハンガリー語、ルーマニア語とそれぞれ各国語での呼び名もあります。ちなみに英語では「ダニューブ」と呼ばれているのですが、その語源はラテン語の「ダーヌビウス」というローマ神話の川の神の名前に由来しており、ケルト語からの借用語だと考えられています。ケルト人とは現在のヨーロッパに居住していた先住民です。オーストリアの湖上の住居で有名なハルシュタット文化を築いたことで有名です。

川の区分

ドナウ川は上流、中流、下流の3つに分けることができます。

1.上流

上流は、源流シュヴァルツヴァルトからリンツ、ウィーンなどの都市を通り、川幅が狭くなるオーストリア・スロヴァキア国境にあるジェヴィン門までのことを指します。
ヴァッハウ渓谷には修道院や古城などが両岸に建ち、景勝地として世界的に有名です。先ほど少し触れた『美しく青きドナウ』にちなんで、上流地域は「ブルードナウ」と呼ばれています。

2.中流

中流は、ジェヴィン門からブラチスラヴァ、エステルゴム、ブダペスト、モハーチ、ノヴィサド、ベオグラードなどの都市を通り、山脈を横断しアイアンゲート(鉄門)までです。
古くからの要塞拠点であったドナウベントには砦や古都が点在し、ハンガリー大平原には広大な畑の風景が続きます。
アイアンゲートはかつてはドナウ川最大の難所でしたが、現在では神秘的な渓谷美を堪能する事が出来ます。

3.下流

下流は、アイアンゲートからワラキア平原をルーマニア・ブルガリアの国境として流れ、ジョルジュ、ルセ、オルテニツァなどの都市を通り、トゥルチャで分流、広大なドナウデルタを形成しながら黒海まで流れています。
ドナウデルタには、沼地や湿地に植物が生い茂る中多くの野鳥が生息し、ユネスコ世界自然遺産に指定されています。

上流、中流、下流とそれぞれ魅力的な箇所が多くあります。雄大な自然と魅力的な古都、点在する砦などを一度に堪能できるのでオススメです。
目的地にあったクルーズも出航しているようなので、バカンスなどの際に訪れてみるのはいかがでしょうか。

奥深きドナウの歴史

ドナウ川に関する知識も身につけられたところで、広大なドナウ川の歴史に迫っていきましょう。実は中央ヨーロッパの歴史全体がドナウの岸辺で書かれたと言っても過言ではありません。何世紀も続けられてきた人々と文化の交流の足跡を、今日でもはっきりと見ることができます。
強大な城、立派な修道院、壮大な宮殿など、ドナウの畔には数多くの歴史の証が並んでいます。ドナウ川はローマ帝国時代には北方蛮族に対する防衛線であり、外敵から身を守るためドナウ川沿いには多くの砦が築かれました。ドナウ川は物資の輸送路であり、ウイーン、ブダペスト、ベオグラード、ソフィアなど各国の首都は、重要な基地として築かれた事からその歴史が始まっているのです。

皇帝も通ったドナウ川

上記のとおり、中世ヨーロッパにおいてのドナウ川は歴史の中心であり、大動脈ともいえる存在でした。中世には国王や皇帝のほとんどが頻繁に旅をしていました。彼らは多くの従者たちと共に己の領地を統治していたのです。それぞれ滞在期間に応じて、ある場所では居城が築かれ、また別の場所では修道院が宿泊施設に定められました。その例としてはシェーンビュール城やメルク修道院などが挙げられます。
またフランク王国全盛期の王として有名なカール大帝も、ドナウ川とレーゲン川の合流近くに位置しているレーゲンスブルクに、カロリング朝時代の居住をおいていたとされています。

おわりに

ドナウ川にはまだまだ多くの歴史があります。上流から下流にかけて移動するだけでも、およそ何百年という歴史を見ることができるでしょう。ひとつひとつじっくりと建築や自然を見たい方、時代の中を旅するように次々と土地を巡りたい方、楽しみ方は十人十色です。ぜひ自分だけの歴史の歩き方を見つけてみてくださいね。

参考
www.austria.info

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